VOL2.「自治体独自の被災者生活再建支援制度について」
2016.03.09 - あみなか'sEYE|あみなか視点の政治コラム
[あみなか’S EYE!]自治体独自の被災者生活再建支援制度について
千葉県議会議員あみなか肇が独自の視点で千葉県の政治や暮らしについて綴る「あみなか’S EYE!」。 第二回目は「自治体独自の被災者生活再建支援制度」についてお話しいたします。
千葉県の被災者生活再建支援制度の適用要件の緩和を、強く県に要望します
ここ数年、千葉市では東日本大震災を除き、住家の全壊被害が生じるような大きな災害は発生していませんでしたが、平成27年9月6日に蘇我地区を中心に発生した強風災害では、その範囲は狭かったものの、住家の全壊など大きな被害が生じました。
しかし、今回の災害で生じた被害では、被災者生活再建支援法(以下「支援法」という。)が定める要件に達せず、同法が適用されませんでした。
このため、当該被災世帯に対する支援としては、市の災害見舞金の支給にとどまることとなりました。
そこで、千葉市は全壊世帯が生じた大きな被害であったことを鑑み、被災世帯に対し独自の支援金を支給することとし、その生活再建を支援することとしました。
なお、支援法の概要は以下のとおりとなっています。
○国の生活再建支援制度の概要
(1)適用要件
一市町村で10世帯以上の住宅全壊被害が発生した場合など
(2)対象世帯
全壊した世帯、大規模半壊した世帯、半壊以下で解体した世帯
(3)支援金額
基礎支援金として全壊100万円、大規模半壊50万円、半壊等解体100万円となっており、加算支援金として建築・購入200万円、補修100万円、賃借50万円が住宅の再建方法に応じて支給される。
また、千葉県は国の同制度の適用要件を一部緩和した、独自の被災者生活再建支援制度を有しており、具体的には、一市町村で10世帯以上の全壊被害が発生していなくても、連たんする複数の市町村で合計10世帯以上の全壊被害が発生した場合などには適用されることとなっています。
しかし、今回の千葉市の強風による被害は、住家全壊2世帯であり、国及び千葉県の被災者生活再建支援制度は適用されません。
このため、上記のとおり、千葉市が単独で生活再建支援制度を策定、適用し、被災世帯の生活再建を支援することとなりました。
このことについて県の担当者にヒアリングしたところ、県としては県の支援制度の要件を満たさないことから関知しない、また要件緩和は一切考えていないとのことでした。
ここで、他都道府県の独自の生活再建支援制度の策定状況を政務調査しました。詳細は以下のとおりです。
(図1)
概要を見ると、6種類程度に分類されるものと考えます(府県数は重複有)。
①住家全壊等が1世帯以上から適用
→8県(ただし、宮崎県は「見舞金」に近い。)
②複数世帯の住家被害から適用
→2県
③支援法等が適用されることとなった災害であって、その適用外となった市町村に適用
→7府県
④一般的な制度として策定するも、その適用の可否についてはその都度判断
→1県
⑤共済制度として策定
→1県
⑥特定の災害に着目して策定(事後的)
→9府県
これらを見ると、都道府県によって大きな差異があることが分かります。
全壊被害1世帯から適用し、300万円を支援金として支給する自治体があれば、当該制度を全く有しない自治体もあります。
また、千葉県の隣接県で見ると、埼玉県及び茨城県の当該制度の充実が顕著です。
例えば、何らかの災害によって、千葉県、埼玉県及び茨城県の県境付近でそれぞれ3世帯ずつ、計9世帯の全壊被害が発生したとすると、埼玉県及び茨城県の被災6世帯は各県の支援金(各世帯300万円)を受取ることができますが、千葉県の被災3世帯は千葉県からは一切の支援はありません。
現在、私は、千葉県の被災者生活再建支援制度の適用要件の緩和について強く県に要望しています。
このように自治体の施策には大きな相違があることがよくあります。
こうした相違を県民の皆様に発信し、どのように変えるべきなのか、あるいは変えないのか、しっかりとご意見を拝聴し、県政に反映させていきたいと思っております。
以上、あみなか’S EYE!でした。
千葉の明日に人生をかける
千葉県議会議員(千葉市中央区)
あみなか肇