2015.12.29 - ブログ
○最終処分場を受け入れる危険性等について、環境省の見解は?
・津波(市の津波ハザードマップでは避難対象地域となっている)のリスクは?
→候補地の地盤高は4m程度あり、巨大地震が起きた場合に想定される最大の津波高は3m程度。さらに防潮堤を設置することで津波対策を図るとしています。
・液状化(県の液状化マップでは液状化危険度最高ランクの地区となっている)のリスクは?
→地下の固い地盤まで基礎杭を打つなどの対策工を十分に行えば対処可能としています。
・東京湾に隣接しているリスクは?
→最終処分場は水を出さないので漏出はない。地震等でも壊れないよう堅固な施設を造る。万が一漏出しても、ベントナイト混合土等で外部への流出を防ぐとしています。
・工場地帯隣接のリスクは?
→県の基準では建物から50m以上離れていれば処分場を設置できることとされています。
・人口密集地に隣接するリスクは?
→選定手法を踏まえ総合的に選定したもので、十分な距離があるとしています。
・地価下落など風評被害のリスクは?
→風評被害が生じないよう、十分に説明をしていくとしています。
・健康へのリスクは?
→試算によれば、覆土によって遮蔽された施設の境界から2,150メートルの場所(およそ、施設から最寄りの住居までの距離)で、1年間に受ける追加的な被ばく量は、1000兆分の2マイクロシーベルトであり、自然界から約1000億分の3秒間に受ける被ばく量と同程度のため、周辺住民への健康に対する影響は無視できるレベルとしています。
・3700トンの指定廃棄物を搬送するリスクは?
→指定廃棄物が飛散・流出しないよう、容器などに収納するほか、密閉式の車両を使用するか、遮水シートで覆うなど、雨水が浸入しないよう搬送するとともに、住宅街や通学路を避けたり、運送の時間帯に配慮するとしています。
・受け入れた場合のメリットは?
→環境省は指定廃棄物を保管している5県が対象の地域振興費を50億円予算計上しています。
具体的には不明ですが、最終処分場を受け入れれば、1県当たり10億円程度の地域振興費が国から予算措置されるものと考えられます。
○市長、市議会、自治会の見解は?
平成27年6月8日、千葉市議会は、「千葉市内での指定廃棄物処分場・建設候補地・選定について再協議を求める決議」を採択し、翌9日には環境省へ申し入れました。そして、翌日10日、千葉市長も、環境省に同趣旨の申し入れを行いました。
また、7月29日、千葉市町内自治会連絡協議会(市連協)も市長に対し、候補地選定を白紙に戻し再選定するよう環境省に申し出ることを要望しています。
そして、12月14日には、環境副大臣が千葉市を訪れ、処分場建設のための詳細調査の実施について改めて協力を要請しましたが、千葉市長は「市民の理解は得られない」としてこれを拒否しました。
◎あみなか肇の指摘
・人口密集地に処分場は不適
環境省は、長期保管施設の堅固さ、液状化対策、津波対策、海への漏出対策等の技術論において、しっかりとした対策を講じるので安全だとしていますが、福島での事故を目の当たりにした我々からすれば「安全神話」は崩れ去っています。万が一の時を想定すれば、人口密集地のすぐそばにこれらの施設を設置することはリスクが高く、到底容認できません。
・千葉県の地域事情が一切考慮されないなど多くの問題
他県では、地域の独自事情として、観光地が候補地選定から除外されたり、分散処理が検討されるなどしています。千葉県だけは、他県以上に候補地の範囲を広げる一方、独自事情が考慮されないなど、今回の選定にあたっては多くの疑念が生じざるを得ません。
・再検証が不可能なデータは受け入れ不可
前頁の総合評価一覧表では、候補地が所在する市町村名までは分かりますが、それより細かいデータは一切公表されていません(民有地のため、プライバシー保護の観点から公表不可とのこと)。
これでは、第三者が、環境省が公表した上記データの信頼性を検証することができません。環境省のデータをただ信じるしかない状況は大きな問題と考えます。現に、栃木県では、県が設置した有識者会議が、環境省が候補地選定に使用した国立公園等のデータに欠落等の誤りがあることを指摘し、環境省もこれを認めたところです。また、環境省は千葉市議会に提出した資料に誤りがあったことも認めています。
そもそも、住民に公表できない資料をもとに選定すること自体に問題があり、詳細を公表することができないと分かっている民有地を候補地選定の対象としたことにも問題があると考えます。
以上を踏まえれば、環境省に対し、候補地の選定を白紙撤回するよう引き続き求めざるを得ないと考えます。また、あらためて保管自治体での分散処理を検討するなど、住民の意見に十分配慮した対応を求めていく必要があると考えます。
(了)
千葉県議会議員
あみなか肇
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○最終処分場を受け入れる危険性等について、環境省の見解は?
・津波(市の津波ハザードマップでは避難対象地域となっている)のリスクは?
→候補地の地盤高は4m程度あり、巨大地震が起きた場合に想定される最大の津波高は3m程度。さらに防潮堤を設置することで津波対策を図るとしています。
・液状化(県の液状化マップでは液状化危険度最高ランクの地区となっている)のリスクは?
→地下の固い地盤まで基礎杭を打つなどの対策工を十分に行えば対処可能としています。
・東京湾に隣接しているリスクは?
→最終処分場は水を出さないので漏出はない。地震等でも壊れないよう堅固な施設を造る。万が一漏出しても、ベントナイト混合土等で外部への流出を防ぐとしています。
・工場地帯隣接のリスクは?
→県の基準では建物から50m以上離れていれば処分場を設置できることとされています。
・人口密集地に隣接するリスクは?
→選定手法を踏まえ総合的に選定したもので、十分な距離があるとしています。
・地価下落など風評被害のリスクは?
→風評被害が生じないよう、十分に説明をしていくとしています。
・健康へのリスクは?
→試算によれば、覆土によって遮蔽された施設の境界から2,150メートルの場所(およそ、施設から最寄りの住居までの距離)で、1年間に受ける追加的な被ばく量は、1000兆分の2マイクロシーベルトであり、自然界から約1000億分の3秒間に受ける被ばく量と同程度のため、周辺住民への健康に対する影響は無視できるレベルとしています。
・3700トンの指定廃棄物を搬送するリスクは?
→指定廃棄物が飛散・流出しないよう、容器などに収納するほか、密閉式の車両を使用するか、遮水シートで覆うなど、雨水が浸入しないよう搬送するとともに、住宅街や通学路を避けたり、運送の時間帯に配慮するとしています。
・受け入れた場合のメリットは?
→環境省は指定廃棄物を保管している5県が対象の地域振興費を50億円予算計上しています。
具体的には不明ですが、最終処分場を受け入れれば、1県当たり10億円程度の地域振興費が国から予算措置されるものと考えられます。
○市長、市議会、自治会の見解は?
平成27年6月8日、千葉市議会は、「千葉市内での指定廃棄物処分場・建設候補地・選定について再協議を求める決議」を採択し、翌9日には環境省へ申し入れました。そして、翌日10日、千葉市長も、環境省に同趣旨の申し入れを行いました。
また、7月29日、千葉市町内自治会連絡協議会(市連協)も市長に対し、候補地選定を白紙に戻し再選定するよう環境省に申し出ることを要望しています。
そして、12月14日には、環境副大臣が千葉市を訪れ、処分場建設のための詳細調査の実施について改めて協力を要請しましたが、千葉市長は「市民の理解は得られない」としてこれを拒否しました。
◎あみなか肇の指摘
・人口密集地に処分場は不適
環境省は、長期保管施設の堅固さ、液状化対策、津波対策、海への漏出対策等の技術論において、しっかりとした対策を講じるので安全だとしていますが、福島での事故を目の当たりにした我々からすれば「安全神話」は崩れ去っています。万が一の時を想定すれば、人口密集地のすぐそばにこれらの施設を設置することはリスクが高く、到底容認できません。
・千葉県の地域事情が一切考慮されないなど多くの問題
他県では、地域の独自事情として、観光地が候補地選定から除外されたり、分散処理が検討されるなどしています。千葉県だけは、他県以上に候補地の範囲を広げる一方、独自事情が考慮されないなど、今回の選定にあたっては多くの疑念が生じざるを得ません。
・再検証が不可能なデータは受け入れ不可
前頁の総合評価一覧表では、候補地が所在する市町村名までは分かりますが、それより細かいデータは一切公表されていません(民有地のため、プライバシー保護の観点から公表不可とのこと)。
これでは、第三者が、環境省が公表した上記データの信頼性を検証することができません。環境省のデータをただ信じるしかない状況は大きな問題と考えます。現に、栃木県では、県が設置した有識者会議が、環境省が候補地選定に使用した国立公園等のデータに欠落等の誤りがあることを指摘し、環境省もこれを認めたところです。また、環境省は千葉市議会に提出した資料に誤りがあったことも認めています。
そもそも、住民に公表できない資料をもとに選定すること自体に問題があり、詳細を公表することができないと分かっている民有地を候補地選定の対象としたことにも問題があると考えます。
以上を踏まえれば、環境省に対し、候補地の選定を白紙撤回するよう引き続き求めざるを得ないと考えます。また、あらためて保管自治体での分散処理を検討するなど、住民の意見に十分配慮した対応を求めていく必要があると考えます。
(了)
千葉県議会議員
あみなか肇
2015.12.28 - ブログ
○他県の指定廃棄物最終処分場の候補地はどのような場所?
宮城県では3カ所、栃木県では1カ所の候補地が選定されています。それぞれの候補地と生活空間の近接状況は以下のとおりとなっており、千葉県の特異性が際立っています。
◎あみなか肇の指摘
宮城県、栃木県の候補地は山の奥深くで、住家があるようなところではありません。
千葉県のように処分場のすぐそばで勤務する方々がいたり、人口密集地に隣接しているのは極めて特異です。
これは千葉県からの提案で、民有地も候補地の対象としたためです。他県では、原則、国有地・国有林が対象となっています。
(続く)
千葉県議会議員
あみなか肇
- ブログ
○他県の指定廃棄物最終処分場の候補地はどのような場所?
宮城県では3カ所、栃木県では1カ所の候補地が選定されています。それぞれの候補地と生活空間の近接状況は以下のとおりとなっており、千葉県の特異性が際立っています。
◎あみなか肇の指摘
宮城県、栃木県の候補地は山の奥深くで、住家があるようなところではありません。
千葉県のように処分場のすぐそばで勤務する方々がいたり、人口密集地に隣接しているのは極めて特異です。
これは千葉県からの提案で、民有地も候補地の対象としたためです。他県では、原則、国有地・国有林が対象となっています。
(続く)
千葉県議会議員
あみなか肇
2015.12.26 - ブログ
○最終処分場とは?
指定廃棄物を長期にわたって管理する施設であり、最終的にはそこで埋立て処分、つまり最終処分される場所となります。
○最終処分場の大きさ、構造は?
環境省は、処分場は下のとおりとなると説明しています。
○「最終処分場」と「長期管理施設」の違いとは?
平成27年4月13日に環境省が開催した有識者会議で、「最終処分場」から、「長期管理施設」へ呼称変更されたもので、実質的には同じものと考えられます(本政務調査レポートでは「最終処分場」とします。)。
○なぜ、1カ所での処理なの? 各市がそれぞれ処理すればいいのでは?
環境省としては、1カ所に集約した方が管理・監視しやすく、万が一の場合も対応しやすいためとしています。
しかし、茨城県では分散保管を検討しています。千葉県の市町村長会議でも同様の対応を求める議論がありましたが、環境省は採用しませんでした。
○指定廃棄物最終処分場の詳細調査候補地に選定されたことの意味とは?
最終処分場を設置することについて、その安全性等について詳細な調査をするということであり、その調査で安全性が確認されば、最終処分場が設置されることとなると考えられます。
○候補地になった経緯は?
環境省は、4回の市町村長会議、8回の指定廃棄物処分等有識者会議を開催しました。
市町村長会議では、最終処分場として県内1カ所に集約する、民有地も候補の対象とする、県の廃棄物処理施設の立地等に関する基準を準用することなどが決定されました。有識者会議では、候補地の選定手法等が決定されました。
これらの結果、環境省は詳細候補地を蘇我に決定しました。
○市町村長会議ではどのような議論がなされたの?
第3回目(全4回開催)の会議では、環境省が提案する県内1か所での処理について、出席した市長や町長らから異論が噴出しました。
それにも関わらず、環境省は1か所で処理する方向で強引に議論をまとめました。
そして、県は、候補地の選定にあたって国有地・国有林のみならず民有地も対象とすること、また、県の廃棄物処理施設の立地等に関する基準に配慮をするよう環境省に提案し、了承されました。
○候補地の選定過程は?
環境省は、有識者会議及び市町村長会議での議論を踏まえ、以下の3点をもとに検討し、候補地を決定しました。
1.安全等の観点から避けるべき地域を除外
・地すべり、斜面崩壊、土石流、洪水、雪崩、活断層、津波、火山噴火などの可能性がある場所を除外
2.利用可能な国有地に加え、県から提案のあった民有地を含む土地の中から、必要面積が確保可能な土地を抽出
3.安心等の観点から、以下の4点について、それぞれ5点満点で点数付けし、候補地としてより望ましい土地を抽出
○この結果683か所について下記の一覧表(一部抜粋)のとおりとなり、総合評価16点で最高点になった東電敷地が候補地となったとのことです。(同点の2番は民有地であり、当該土地所有者が使用予定ありとのことで除外されたとのこと。)
◎あみなか肇の指摘
環境省による市町村長会議の進行、まとめ方は、強引で無理があったと考えます。ここからやり直す必要があると考えます。
また、県は民有地も候補地とすること、県の廃棄物処理施設の設置基準を準用することを提案し、環境省はこれを即時に了承しましたが、かなり不自然さが感じられます。つまり、東電敷地ありきだったのではないかとも考えられる可能性があったのではないかと思われます。
全4回をとおして環境省・千葉県のシナリオどおりに会議は進められ、市町村長会議であるにも関わらず、市町村の意見は採用されませんでした。極めて強い違和感を感じざるを得ません。
また、第5回の有識者会議では、10段階の植生自然度のうち、自然度1.2.3.4は除外され、6.7.8ぐらいの「ちょうどほどよいところ」が候補地になるだろうという、座長の発言がありました。ちなみに蘇我の候補地は自然度1です。つまり、自然度6.7.8ぐらいの「ちょうどほどよいところ」が候補地としてふさわしいものであり、自然度1の蘇我の候補地は全く候補地たり得ないと考えられます。そもそも、この指標自体が、人口密集地・市街地ほど処分場にふさわしいという、通常の感覚では受け入れられないものとなっています。
同様に、準用することとなった県の廃棄物処理施設の設置基準についても、この対象はあくまでも単なる「廃棄物」であり、放射性物質を含む「指定廃棄物」にまでその対象を拡大することについて、受け入れることはできないものと考えます。
(続く)
千葉県議会議員
あみなか肇
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