– 笑顔で暮らせる千葉県づくり – 千葉県議会議員 あみなか肇

VOL1.「奨学金」~いつの時代も、“学び”とそれに先立つ“お金”は学生にとって大きな悩みの一つです~

[あみなか’S EYE!]大学生の”学び”と”お金”の悩み
千葉県議会議員あみなか肇が独自の視点で千葉県の政治や暮らしについて綴る「あみなか’S EYE!」。 第一回目は「奨学金」についてお話しいたします。

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過日、学生の皆さんとの議論の中で、
“将来が不安だからこそ今しっかり勉強をする!”
というお話がありました。

そして、勉強するにはお金がかかる、留学するにもお金がかかる、
ということも耳にしました。

“将来への不安”に備え、留学などを含めて、しっかりと勉強したいが、経済的な面で懸念があるということ、と受け止めました。

いつの時代も、学びとそれに先立つ「お金」は学生にとって大きな悩みの一つです。
そこで、現在の大学生の皆さんを取り巻く学習環境を、奨学金を中心に経済的な面から検討します。

家計と大学授業料の状況について

まず、図表1は近年の家計(民間平均賃金額 ※年間ベース)を見たものです。
※以下、簡略化のため物価の上昇は考慮せず名目での比較とします。

(図表1)
民間平均賃金額
※国税庁民間給与実態統計調査結果から作成

平成10年を頂点に、平均賃金は平成10年まで逓増し、その後約10年間は減少し続けましたが、ここ数年は上昇に転じています

次に図表2は大学授業料の推移です。
平成元年からの16年間で、国立で18万円、私立で約25万円の増加となっています

(図表2)
年間授業料の推移
※文部科学省資料国立大学と私立大学の授業料等の推移から作成

統計の時期は異なりますが、民間平均賃金額が下落する中で、大学授業料は上昇しているという状況を読み取ることができます。

奨学金の受給状況について

図表3は大学昼間部における奨学金受給率の推移です。

平成6年には2割程度だったものが、平成24年には5割を超える受給率となっています

(図表3)
受給者率
※(独)日本学生支援機構学生生活調査報告から作成

図表4は奨学金受給者に占める、給付・貸与別の比率を示しています。
9割以上が貸与型を受給しています

(図表4)
奨学金 給付・貸与比率
※文部科学省(独)日本学生支援機構奨学金貸与事業の概要から作成

図表5は奨学金の受給者数、有利子・無利子別の内訳を示したものです。
平成15年度を境に有利子奨学金が無利子奨学金を上回り、平成24年度には奨学金利用者の3分の2は有利子の奨学金を利用するものとなっています

(図表5)
無利子・有利子別奨学金事業予算の推移
※文部科学省(独)日本学生支援機構奨学金貸与事業の概要から作成

大学授業料と奨学金の状況

図表6は各国の大学授業料と奨学金等の公的支援の状況を示したものです。
縦軸は授業料の高い・低いを、横軸は奨学金等の公的支援の高い・低いを示しています。
4つのゾーンに分けてその特徴を見ると以下のとおりとなります。

(図表6)
大学授業料と奨学金の状況
※OECD Indicators Education At a Glance 2014から一部加工。

1ゾーン  授業料が0か安い  奨学金等が充実
2ゾーン  授業料が0か安い  奨学金等が充実していない
3ゾーン  授業料が高い  奨学金等が充実
4ゾーン  授業料が高い  奨学金等が充実していない

 

日本は、4ゾーンに属し、授業料が高く、奨学金等が充実していないという区分に分類されるようです

以上、大学生を取り巻く経済的な面について、奨学金を主としてその概略を検討しましたが、対談の中でも出てきたご指摘が、各種統計などによっても裏付けされています

高等教育のあり方、奨学金制度のあり方などについて、限りある財源の中でこうした分野に対する支出をどうするのか、今後より積極的に議論を深めて行く必要があると考えます。

以上、あみなか’S EYE!でした。

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千葉県議会議員(千葉市中央区)
あみなか肇